二人の天才が選んだ高槻の紅葉

 カテゴリ/高槻Life 投稿日/2019-11-26

日ごとに秋が深まってきた、ふるさと高槻。
神峯山寺や摂津峡など、毎年、高槻の紅葉の名所をめぐってきたこの歳時記ですが、今年は、知る人ぞ知る高槻の隠れ紅葉スポットに足を運びました☆

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平安きっての女流歌人・伊勢が晩年隠れ住んだといわれる「金剛山象王窟・伊勢寺」です。
以前は、紫陽花の季節にご紹介しました。
https://www.kosakaweb.jp/columns/detail.php?id=202&cid=39

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JR高槻駅北口から高槻市営バスでわずか5分、そこからまた徒歩で数分の場所にあるこのお寺。
市街地からのアクセスも抜群なのに、門をくぐるとそこには別世界が広がっています。

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人の気配さえ感じられない伊勢寺の境内。
聞こえるのは、紅葉をかきわけふみわけ進んでいく、自分自身の足音だけです。

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藤原仲平・時平兄弟、平貞文、さらには、宇多天皇やその子・敦慶親王にも愛された伊勢。
古今和歌集に選ばれた歌の数は22首にも及びます。
これは、かの有名な小野小町の18首を凌ぐ数で、女流歌人の中では最多です。

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伊勢は、天皇の后である中宮に使える人物でした。
時代こそ違え、同じ身分であった清少納言や紫式部に勝るとも劣らない抜群の才能。
さらには、時の権力者や帝の寵愛を一身に受けた類い稀なる魅力。
伊勢は、同時代だけでなく、後世の人々にとっても強い憧れの存在だったといいます。
 
あの紫式部の大作・源氏物語も、伊勢の遺した「伊勢集」や彼女自身の生き方に大きく影響を受けているとも考えられているのです。

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波瀾万丈の人生の最期に選んだ、ここ高槻の紅葉。
伊勢はいったいどんな気持ちで眺めていたのでしょうか。

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伊勢を慕うあまり、同じく高槻のこの場所に移り住んできた人物がいます。
こちらも歌人として有名な能因法師です。
彼は、伊勢の死後、半世紀ほど経過してから生まれていますので、直接その魅力に触れたわけではありませんが、彼女のあとをたどり、高槻を隠遁地と定めました。
 
百人一首には、能因法師が詠んだちょうどこの季節にぴったりの歌が遺されています。
 
「あらし吹く み室の山の もみぢばは 竜田の川の 錦なりけり (能因法師)」

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歌枕を旅する能因法師の生き方は、後の西行や松尾芭蕉たちのお手本となるのです。

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「涙さへ 時雨にそひて ふるさとは 紅葉の色も こさまさりけり (伊勢)」
 
一雨ごとに、鮮やかさを増す高槻の秋。
後世にも大きな足跡を遺した二人の天才が選んだこの場所には、訪れた者しか味わえない「極上の美」が待ち構えているのです。
 
◆ 伊勢寺(いせじ)
【所在地】 高槻市奥天神町1丁目1-19
【電話番号】 072-681-3284
【アクセス】 JR高槻駅北口より高槻市営バス「日吉台」行きに乗車、「上天神」で下車後、徒歩5分程度

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 カテゴリ/高槻Life 投稿日/2019-11-26