ヨシ原焼き

 カテゴリ/高槻Life 投稿日/2017-03-11

高槻の春を告げる風物詩といえば、鵜殿のヨシ原焼き。

高槻Lifeの写真1

地元高槻に住んでいると、「通行止めになるなあ」とか、「煙がくるから、洗濯物を家の中に干さないと・・・」という程度にしか認識していない人も多いかも知れません。
けれども、実は、この鵜殿のヨシ原焼き、日本の文化にとって非常に大切な行事だったのです。
 

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日本を代表する音の文化といえば、国の重要無形文化財、さらには、ユネスコの無形文化遺産にも登録されている「雅楽」ですよね。
この雅楽に使われる楽器、篳篥(ひちりき)のリード部分である廬舌(ろぜつ)には昔からヨシが使用されています。
 
廬舌に使われるヨシは、特殊な加工が施されます。
そのため、弾力があり、われにくい特別なヨシが必要となります。
そう、それこそが、古代より、高槻・鵜殿のヨシ原の限られた場所に、数百本から数千本に1本の割合でのみ生える「奇跡のヨシ」なのです!
 
宮内庁楽部の主席楽長として活躍した東儀俊美さんや東儀兼彦さんも、かつて鵜殿に生息するヨシの品質の高さを絶賛していました。
 
日本の伝統文化・雅楽の美しい主旋律を担当する篳篥。
その素晴らしい音色は、ここ高槻の鵜殿ヨシ原から誕生していたのですね♪
 

高槻Lifeの写真3

戦後すぐに始まったヨシ原焼きでしたが、民家への延焼や煙・すすに対する苦情から、何度も中断されてきました。
 

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けれども、ヨシはきちんと刈り取り、人の手を加えてやらないと、害虫の被害を防ぎ、新芽を成長させることができません。
また、万が一、ヨシ原に不慮の火災が起こった場合、市民への被害も心配されます。
 
そのため、現在は、高槻市、消防、地元住民、ボランティアが一体となり、焼く前にヨシを刈り入れておいたり、事前に洗濯物を取り入れるよう放送を流したり、様々な工夫を凝らしながら鵜殿ヨシ原の保全に努めています。
 

高槻Lifeの写真5

今も昔も変わらず、宮内庁楽部の雅楽を支えているのは、鵜殿のヨシ。
高槻の自然が生みだした、たぐいまれなその音色は、日本だけでなく、世界中からも称賛の声を浴びているのです!

 カテゴリ/高槻Life 投稿日/2017-03-11